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re:koto【リコト】から生まれた様々なコトは、必要がある時にはコトの改良や変更を行います。そんなre:kotoのキロクです。

2020/

森と木と土地と人と15cc   「15ccの木を求めて」

re:kotoの調理器具「大さじ、小さじを測る匙として、また木ベラとして使える調理器具15cc」の開発が始まったのは2016年。色々な条件を精査する中で私たちが考え、経験し学んだ15cc開発の記録です。

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当初から私たちが探していた15ccの材料である木の要件は 「所在のわかる木」「無加工の何も処理のされていない木」 でした。その木探しが難航する中、私たちの話に興味を持ってくださった「株式会社飛騨の森でクマは踊る(以下ヒダクマ)」さんに出会うことができ、私たちはその答えを求めて2019年7月、飛騨に行きます。
滞在中は森や製材所、木工作家、販売店、木工所などを訪れ沢山の人から話を聞けた貴重な時間となりました。

 

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・岐阜県にある飛騨市は90%以上が森林。宮川を挟んで町と森が形成されています。

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・森へ。管理された森とそうではない森では木や土壌の成長も違います。管理された森は地表に光が届き、より良い土壌を形成していきます。

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・建材などに使われる針葉樹は国産材よりも外来産の方が使用頻度が高く広葉樹でも同じように国産材が使われない現状があります。そこで飛騨市の90%の森林を有効に活用する方法を考え飛騨市は「広葉樹活用モデル林」を作り、豊かな森と広葉樹の活用を模索しています。

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・製材所では輸入材も多く取り扱っており、大型機械が製材する現場や出荷待ちの木材を見学。

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・高山にある「やわい屋」さんで 奥井木工舎の奥井さんと情報交換。気が付くと4時間近く木の事、製作の事、販売の事、色々な事を話しました。

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木と暮らし制作所さんを見学。製品作製時にでる端材から15ccの材に使える長さがあるかの確認。

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・生産、管理、販売、距離、費用など様々な理由から生まれる在庫。林業の現状を理解した場所。



今回の滞在で、沢山の方とのご縁で15ccを製作するにあたり必要としていた材を提供してくださる「木と暮らしの制作所」さんに出会うことができました。
そこでは、山からおろした木で家具や小物の企画・製造をされており、その製作にあたり生まれる端材を私たちにわけていただきます。端材といっても大きさも十分で乾燥した、しっかりとした材でとてもありがたい出会いでした。

それと、今回の滞在の中で生業として日本にある木材を使い日本の風土に合った小物を作る事が現状ではなかなか難しい事を知ることになりました。国内で木を育て管理し伐り出し市場で使えるようにするのは手間と費用がかかります。そして、その手間と費用と需要のバランスが合えばよいのですが、大物(家や家具)でもそのバランスが合わず国産材を使うことが難しい場合があります。国産の木で製品を作ること、そして使ってもらうこと、小さくてもその1つ1つが日本の未来の森を作る。ここから少しでも、より良い流れが生まれるように15ccを広めていけたらいいなと思います。


・今回の木材を探すにあたり、飛騨でお時間を頂いた製材所、木工所の方々、作家様、大切な木材を提供してくださる「木と暮らしの制作所」さん、そして様々なサポートをしてくださった「株式会社飛騨の森でクマは踊る」さんに心から感謝いたします。



・ヒダクマさんからの記事「理想の木はどこ?産地が分かる素材を求めたふたりのデザイナー」 はこちらから。





森と木と土地と人と15cc    「日常つかいを追及して」

調理道具は日々使う道具です。その日常使いの道具に人は無意識に道具の使い勝手を判断し、使いやすい道具はより使われ、そうでない道具は使用頻度が減ります。それならば人の腕や手の動きに自然に追従する使いやすい道具の形状とはどのような形であるか?その疑問の答えを探り、「無意識に選ばれ、長く使える道具のカタチを具現化」し生まれたのが「15cc」です。そんな15cc作製におけるデザイン検証の一部をご紹介します。

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・完成した15cc。大さじ(15ml)小さじ(5ml)を計量でき、鍋底にしっかりとそう特徴的な先端形状。手に持った時にすっと手になじみ使うほどより使い手の環境に染まって行きます。(登録第1570702号)

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・調理時の腕と手の動きから15ccとの最適な角度を探し出すために形状をフレキシブルな変形を可能にし、同時に先端スプーン形状が鍋底に沿うような形状を探す為の検査用の15cc。

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・15ccは鍋底などを360度回転して調理する時には手の中で包み転がすように使います。その為、手の中で、転がった時になじむ形状を求め生まれた形状です。そして、握る場合でもしっかりと力を入れられるように最適な厚さと形で作られています。

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・樹種により色味や重さ、経年変化が異なるので様々な樹種で15ccを作り実生活で使用し経年変化の違いを見る実験。何年も使用していくとだんだんと使い手の色に染まるのも15ccの良いところです。





森と木と土地と人と15cc    「道具であること」

15ccは無塗装ですので、日々の調理や洗浄で扱いやすいように木の仕上げを工夫しております。そうすることで、無塗装でも乾きやすく長く使える道具となります。しかし、無塗装品であるので15ccはまな板の使用と同じように使う前に水にさらすなどちょっとした使用時のコツもあります。
15cc製作にあたり、より日常での使用を意識して製作したポイントのご紹介です。

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・15ccは飛騨産の広葉樹を使用した無塗装品です。それは素材に木だけを使用する事で沢山の方に安心して使ってほしかったからです。そして汚れにくく乾燥しやすいように、しっかりとした木表面の磨きを行っています。 使用時にはさっと水にさらすことで15ccの色が変わり(上:水にさらした直後の山桜/下:乾燥時)、これがご使用の合図となります。そして 使い始めの色味は徐々に濃くなっていきます。匙を育てる感じや経年変化も楽しめるのも木のよいところです。
(使用前に水にさらし木が水分を吸うことで繊維が膨張し食材の色、におい移りを抑える働きがあります。そして使用後の洗浄も楽になります。)

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・スプーン状の先端では大さじ、小さじを計ることができます。調理の手を止めることがなく、洗い物も少なくなります。

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・フライパンや鍋底のふちに沿って、ぐるっと食材を集める事ができるように設計されています。そして先端のフラットの形状により、平たいところにある食材もこするように集める事もできます。木ですので食材や鍋への当たりも優しく、調理後はスプーン形状を利用してそのままお皿に盛りつけができます。


より詳しい木製品の使い方のコツなどをまとめた情報はこちらからどうぞ

 


最後に、日々の料理で少しでも手間が減り15ccを使いやすいと思って頂けたら嬉しいです。末永く購入して頂いた方の傍で、しっかりと機能する道具である事を願っております。

大さじ、小さじを測る匙として、また木ベラとして使える調理器具15ccのご購入はこちらから




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20・05・24

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